治験モニターは新薬開発のためには欠かせないものです。
こうした治験はボランティアで行われることが多くなっています。
しかし中には有償のボランティアで行う場合もあり、その場合は「治験バイト」と呼ばれることもあります。
そこで、ここでは治験バイトについて紹介していきたいと思います。
治験バイトとは
治験バイトとは新薬、サプリメント、化粧品などの開発において有効性や副作用をはっきりさせるために、それらの効果を試す被験者となる仕事です。
「バイト」と呼ばれてはいますが、時給などが支払われるというわけではなく、「有償ボランティア」として報酬を受け取るというものとなっています。
こうした治験は国、厚生労働省に認可されるために行われる最終的な臨床試験となっています。
そのため実施される際には国が規定している厳しいルールに基づいて行われることとなります。
実施される施設には医師や看護師などが待機し、万全の体制で行われます。
まだ承認されていない薬の検証を行うためにここで受け取ることができる報酬は高額になることが多くなっています。
治験バイトの2つのタイプとは
治験には大きく分けると「通院するタイプ」と「入院するタイプ」の2つの方法があります。
そこでここではその2つのタイプについて紹介していきます。
通院するタイプとは
通院の場合でも入院の場合でも基本的には薬やサプリメントなどを服用、投与してその後の体調の変化を検査するものとなります。
検査の際には採血が行われます。
通院するタイプは入院するタイプよりも身体にかかる負担が軽いものが多くなっています。
自宅から治験の実施施設に通い、治験を行うこととなります。
採血や脳波などのモニターを行うものを1日~1週間程度行うものが多くなっています。
自分で通うことができるレベルのものですので、それほど負担が重い治験が行われることはあまりありません。
入院するタイプとは
入院するタイプの治験では病院施設に入院をして治験を行います。
短い治験では1泊2日程度、長いものになると1ヶ月以上に及ぶものがあります。
入院している間は健康状態、生活リズムなどがしっかりと管理されている上で生活をしていくこととなります。
起床時間、就寝時間、食事時間などが細かく決められており、それらの間に定期的に検査が行われます。
それ以外の時間は自由時間となるのですが、この入院期間中は「飲酒、喫煙、外出、スマートフォンの利用など」については制限がかけられることとなります。
治験中に体にトラブルが起きた場合は
通院するタイプ、入院するタイプの両方とも治験が行われる際には医師や看護師が立ち合いのもと安全に注意を払って行われます。
もし治験中に強い副作用が出て、体にトラブルが起きた際にはすぐに治験を中止し、健康回復に向けての対応がなされます。
もし副作用が後日に出た場合でもしっかりとした治療対応がなされることとなっています。
こうした治療については実施施設から保証がなされるので治療費などの心配はありません。
治験バイトのバイト代とは
治験バイトはアルバイトではなく「有償ボランティア」のため、「バイト代」ではなく「謝礼金」「協力金」として支払われることとなります。
治験に参加した日数や期間に応じて日給単位で支払われることが多くなっています。
通院タイプと入院タイプで多少違ってくることがありますが、相場としては1日あたり1万~2万円ほどとなっています。
また、健康被害が出て入院する必要が出た場合などでも医療手当や休業補償金が出ることとなっています。
入院タイプの方が制限を受けることが多いため、報酬は高めに設定されることがあり、中には日給3万円というものもあります。
ただ、誰でも参加できる、すぐに参加できるというわけではありません。
治験に参加する場合には被験者の健康状態に配慮されて行うために、
・BMIなどが健康範囲内である
・体重が一定以上ある
・年齢や性別の制限がある
といった応募条件があります。
また、治験中には喫煙や飲酒を控えることができるかどうか、休薬期間中ではないかといったことも条件となります。
また、治験に応募する場合にはあらかじめ検査を受けて、健康状態に問題がないと認められてからの参加となりますので、応募から1週間~10日程度あってから治験に参加することとなります。
治験バイトのメリットとデメリットとは
治験バイトにはさまざまなメリットとデメリットがあります。
それらを適切に理解していくことが重要となります。
ここでは治験バイトのメリットとデメリットを順に紹介していきます。
治験バイトのメリットとは
治験バイトには色々とメリットがあります。
まず治験が行われる際には必ず事前に健康診断を受けることとなります。
こうした細かい健康診断を治験実施施設側の負担で受けることができるのは大きなメリットと言えます。
また、治験バイトは高額な報酬が用意されることが多くあります。
特に長期間の入院タイプの治験バイトでは報酬が数十万単位になることも多くなっています。
こうした高額な報酬を得ることができるのも治験バイトのメリットだと言えるでしょう。
そんな入院タイプの治験では入院中は健康管理がされることとなります。
起床時間、就寝時間が定められており、栄養管理が徹底された食事を規則正しく摂取することとなりますので健康維持の面から考えてもメリットの大きなものとなります。
このようにさまざまなメリットがあるのが治験バイトなのです。
治験バイトのデメリットとは
治験バイトを受ける際にはいくつかのデメリットや注意点があります。
まず治験を受けている期間は「飲酒」「喫煙」「激しい運動」などが制限されることとなります。
こうしたものに耐えられる人でなければ受けることは難しいでしょう。
また、入院中は規則正しい生活を送ることとなりますので、自分の好きなように生活するということはできません。
こうした制限を受けたくないという人にとってはデメリットの大きなものとなるでしょう。
また、治験で使用される新薬やサプリメントについては厳しい基礎研究や動物実験を行った上で使用されるものとなってはいますが、治験において健康被害が出る可能性がまったくないというわけではありません。
人によっては副作用が出る場合もあります。
そうしたリスクも踏まえた上で参加する必要があります。
治験バイトを受ける際の流れとは
では実際に治験バイトを受ける際にどのようにすれば良いのかということについての流れを紹介していきます。
治験バイトの募集を探していく
治験バイトの情報は一般的なアルバイト情報誌やアルバイトの募集サイトには掲載されておらず、「治験サイト」と呼ばれるような治験専門のサイトから探す必要があります。
こういったサイトではさまざまな治験ボランティアの募集情報が掲載されています。
どういった人が求められているのかはここでだいたいわかります。
ただ、募集要項には「年齢」「性別」「体重」「喫煙や飲酒の習慣」などについて条件がついているものがありますので、自分の参加できる条件のものを選ぶと良いでしょう。
また、こういった治験ボランティアは日本全国で募集がされています。
治験を行う場所はできれば自宅から近いところが望ましいとされていますので、自宅近郊から探すと良いでしょう。
治験バイトの説明を受けて同意の取得を行う
治験バイトに参加する際には必ずその治験の内容について説明を受けることになります。
どういった薬剤を投与するのか、どのくらいの期間が必要となるのかといった治験の詳細を詳しく説明されることとなります。
その上で、説明を受けたことを確認し、自分の意志によって治験に参加することの意思表示として「同意の取得」を行います。
健康診断を受ける
治験モニターに参加する際には必ず事前に健康診断を受ける必要があります。
どういった健康診断を受けなければならないかは治験の内容にもよりますが、数時間程度の健康診断を受ける場合がほとんどです。
この健康診断の結果をもとに治験を受けることができるかどうかが判断される場合があります。
健康診断の結果によっては治験に参加できないということもあります。
この合否連絡については検診を受けてから数日~1週間程度かかることが多くなっています。
この健康診断で基準を満たしていると判断された場合は正式に治験モニターに参加することとなります。
不合格になった場合は交通費などが支払われて終了となります。
治験モニターを開始する
健康診断で合格した場合は治験モニターがスタートすることとなります。
治験モニターには大きく「通院タイプ」と「入院タイプ」があります。
それぞれによって流れに多少の違いはありますが、どちらの場合も治験が開始される前日や当日に再び簡単な健康診断が行われることとなります。
そこでは、
・身長、体重、体温、血圧などの測定
・採血と採尿
・心電図検査
といった検査を受けていくこととなります。
その後、薬の投与などの治験を受けていくこととなります。
どういった場所で治験バイトを行うのか
治験バイトがどこで行われるかということですが、基本的には日本全国で募集が行われていますので、自宅から近い場所で受けることとなります。
ただ、治験の内容や募集がかかっているサイトによっては地域が限定されている場合がありますので注意が必要です。
通院タイプ、入院タイプのものどちらの場合も健康面の関係でできるだけ自宅から近い場所で治験を受けることが推奨されています。
居住している地域から近い場所の治験に参加するのが良いでしょう。
治験バイトはどういった人におすすめなのか
ではこういった治験バイトはどういった人におすすめできるものなのでしょうか。
ここではその特徴について紹介していきます。
健康状態に問題がない人
治験バイトは誰でも自由に受けることができるというものではなく、健康診断を受けて「問題がない」と判断された人でなければ受けることはできません。
健康診断では身長、体重といった項目がまず測定されますが、BMIが基準値以上だった場合はまず不合格となります。
その他、血液検査や心電図検査が行われるため、何か健康上に問題がある、不摂生な日常生活をおくっているという人はここで不合格となるため、治験バイトには参加できません。
逆にこういった項目に問題がなく、健康だという人は治験バイトに参加しやすいということになります。
集団生活が苦手ではない
治験バイトには通院タイプと入院タイプがありますが、このうち入院タイプのものは実施施設において医師や看護師、他の被験者たちとともに生活をすることとなります。
そのため、知らない人と生活するのが苦手、集団生活が苦手という人にはあまり向いていないということになります。
こうした人は日常生活と違った環境で生活をすることが大きなストレスを感じることが多いため、治験バイトがかなりつらくなってしまう。
また、治験中に大きなストレスを感じて生活することは治験モニターの結果にもあまり良いことではありません。
そうした意味からも治験バイトに参加する人は集団生活に抵抗がない人が向いていると言えます。
一定期間スケジュールを空けることができる
治験バイトを行っている期間は通院タイプのものでも、決められた時間帯に実施施設に通う必要がありますし、入院タイプの場合はその期間ずっと入院することとなります。
そのため、治験が行われている期間のスケジュールを空けることができる人でなければ治験に参加することはできません。
本業を持っている人などの場合はその期間休むことができることが条件となります。
ある程度スケジュールに余裕がある人が治験バイトに向いていると言えるでしょう。
まとめ
新薬、新しいサプリメント、化粧品の開発には治験は欠かせません。
その治験に参加して報酬を得ることができるのが治験バイトです。
新薬開発に協力できる、健康診断を受けることができる、高額な報酬を得ることができるといったメリットが多い治験バイトにぜひ参加してみましょう。